よむ介護

介護を通じて考えたことを書いていきます。

「関心をもつ」ということ

いままでそういう機会がなかったわけではないのだが、最近ちょっとした事情で久しぶりにヘルパー2級の実習生の指導をさせてもらった。わたしが担当ではなかったのだが、その日の担当があまり介護の知識がない人だったので(って書くとそれなりに失礼ですけど。。。)、それを補う意味でかなり丁寧に説明させてもらった。

 

わたしは普段からあまり人のプライベートなことを詮索するようなことはしないので(自分が聞かれるのが嫌なので)、実習生のことについても根掘り葉掘り聞くことはしない。それでも最低限聞くことがある。それは「この資格をとってからあなたは何を目指しますか」ということ。具体的には、介護業界に就職するのかしないのか、するとしたらどんなところに就職するのか(ジャンルとか雰囲気とか)などを聞くことにしている。

 

彼らの実習の目的が何かは詳しく知らない。が、経験的に言えば①介護現場の雰囲気を知ること、②利用者と実際に接することで介護が必要な高齢者について知ること、③介護という仕事について知ること、がおおまかな目標となるではないかと思う。実習生の関心はさまざまなので、どこの重点が置かれているのかはその人次第という部分があるが、わたしが実習生とお話するときには、先の質問を踏まえた上で上記の3点を中心にして、「介護ってこんなんですよ~」と手を変え品を変えながら教えることにしている。

 

さて、ここで問題。

 

彼らの関心はさまざまである。そして、施設実習はわずか2日間しかないのだからできることは限られている。その2日間をどのようにしたら有意義なものにしてもらえるのか? 

 

わずか2日間なんだからそんなに具体的なことを教えることができるわけではない。しかも、職員は業務をこなしながらだから、ずっと実習生に構ってられるわけではないのだ。だからと言って、こちらが何も指導しなくていいというわけではない。なぜなら、彼らは実習費用を払っており、それは施設の収入の一部になるからだ。

 

では、どうすればいいのだろうか?

 

わたしはまず「関心を持ってもらう」ということが一番なのではないかと思う。もちろんこの資格を取りに行く時点で関心はあるのだろうが、もっと「介護」というものに関心を持ってもらう。その為のヒントを実習生に提供できたら、そこから先は自分で勉強することができる。そうなってもらえたら、指導する側としてもやる意味があるのではないだろうか? (少なくともわたしはそう思う)

 

わたしが聞いた話では、実習先で掃除ばかりさせられたとか、コミュニケーションばかり取らされたとかいう経験がある人もいるようだ。どちらも現場では大切なものである。でも、「ただそれだけをしてて」と指示されて、そのままほったらかしにされたら、実習生はどうだろう?

 

大事なことは、「なぜそれをするのか」をきちんと説明することだ。それさえ説明すれば、場合によっては掃除もコミュニケーションも意味のあるものになるだろう。

 

でも、さすがにわたしはそれだけをさせることはしない。それは、やはりそれだけが介護ではないからだ。

 

ということで、わたしは身体介護を含め、できるだけいろいろなものを見てもらえるようにと考えるのだが、実習生には実技を体験してもらうというよりもその考え方を知ってもらう、というとことをわたしは重視している。「なぜそれをするのか」。関心をもつというのは、まずそういうことだからだ。

 

言うまでもなく、介護の現場においてわたしたちがまず関心を持たなければならない対象は利用者である。それがすべての出発点だと思う。

 

だから、たとえば利用者が不思議な行動を取った場合、すかさずわたしは「なぜこの人はこんなことをするんだと思いますか?」と実習生には聞くようにしている。それは、わたしたちが何を観察し、どう利用者のことを考えているのかを知ってもらうためだ。

 

そうやって、その人の行動に興味を持ち、そしてその背景にあるものを考えてもらい、そこからなぜその人には介護が必要になるのか、を説明すると、大抵の人は教科書以上のことを現場で学んでくれるはず・・・と勝手に思っている。

 

どこまで伝わっているのかは、本人に聞いてみないとわからないけどね。

 

最後にこんなことを書いてみようと思ったのは、今日からいっしょのフロアで働くことになった新人さんにどう教えたらいいのか、少し考えあぐねていたから。その人がいま知りたがっていることと、わたしが知ってほしいと思っていることにギャップがあって、それは何なのだろう・・・と考えいたら、ふと「関心」というキーワードが出てきたのだった。

 

実習生に教えることと、現場でこれからともに仕事をする人、どっちにしても最初に教えなければいけないことはいっしょなのではないかと思う。「関心をもつ」ということ。利用者にも、職員にも、介護にも。

 

「業務をこなせばそれでいい」という態度ではいつまでも成長できない、ということをわたしは言いたかったんだけどね。

 

とか言いながら、この手の話は大抵ブーメランになるから、自分の気を引き締めるためにも一度文章化してみたという次第。