よむ介護

介護を通じて考えたことを書いていきます。

介護

国家資格をもって働くということ

最近、思考の停滞が著しく、あまりまとまらないことをが多いのだけど、いまの時期なので少し書き残しておく。 介護の仕事にはいろいろな側面があるが、典型的なもの、いわゆる身体介護と呼ばれるものの中に「入浴」がある。お風呂に入るということ、これに人…

飽きることもまた、風物詩かな

最近、ネットで料理番組の動画を観るのにハマっている。自分で料理するわけではないのだが、作っているのをただぼーっと眺めているだけで時間が過ぎていくのだよい。そして、なにげに料理に対する知識を深めることができる。たとえば、ホワイトソースの作り…

予期できないものとしての死について

年始からなんともめでたくない話だが、元旦早々、ある利用者とお別れすることになった。年齢的にはまだ比較的若く、そして何か生命の危機にかかわるような予兆があったわけではない、そんな状況で突然訪れた出来事だった。 自分の担当の利用者ではないとはい…

想像力のレッスン

あまり良いこととは思えないのだが、現在のわたしの部下には二十歳前後の若者が多い。そう一口に言っても、ここにたどり着くまでの経緯も個性もみんなバラバラだから、あまり一括りには考えないのだけど、おそらくひとまとまりに考えざるを得ないことという…

介護等の体験って・・・

「介護等体験」について調べていたら、すごいことが書いてあるページを見つけてしまった。 www.kyoushi.jp 曰く、 「また、施設の方は利用者の方に対して、いつも笑顔で接し、何かをやりとげることができたらほめています。このようなことは、教師という仕事…

わかろうとすることをあきらめないために

施設に入って半年も経たないある入居者がいる。以前は別の施設で生活していたとのことだが、身体状態をみると片麻痺に加え下肢筋力の低下が顕著で、奇跡的に健側の上肢を用いて自分で食事ができるが(これも利き手交換などのリハビリを経ての話である)、基…

予防的な取り組みの難しさについて

たとえば、現象として物理的に何かが現れたとしてそれを取り除くのはそれほど難しくないかもしれないが、何かが物理的に現れること自体を防ぐとなると話は変わってくる。 まずその物が現れる機序を明らかにした上で、それが発生するプロセスに介入し形になら…

時間を有効に使うことについて

昔いっしょに働いていたベテランの同僚がいて、その人はとにかく仕事が早かった。年齢から考えるとびっくりするほどにパワフルで、そのスピード感が時に利用者中心の逆を行くようで怖いほどだった。 その人がある時言った言葉がとても印象的だった。その人は…

仮面の笑顔

つかれていても「つかれている」とは言ってはいけない・・・少なくとも部下の前では。 しかし、つかれているのだよ。だから顔にも行動にも態度にもいつの間にか出てしまう・・・身体は嘘をつけない。 だけど、他人に「つかれてるよね」と指摘されるのはそれ…

まとまりのあるチーム・・・

今日の朝、テレビの占いがふと流れているのが目に入って(仕事中だけど)結果は最下位だったのだけど、そのメッセージに妙に納得してしまった。 占いが提示するのは、完璧を他人に求めてはいけない、寛容な精神を持とう、そして今日は余計なことは言わないよ…

リスクを乗り切る力

どんな状況であってもいつものように何事もなかったかのように仕事をすることは大切だし、それが利用者にとっての生活の安定ではある。だけど、どうしても状況が変わっていかざるを得ないのが現場であって、その中でいかに「いつもと変わらず」振る舞えるか…

あなたのしていることは自立支援かどうか、という視点について

ある利用者がある時こんなことを言った。「いつも温かいお茶出してくれるけど、暑くなってきたし冷たいお茶がいいわ~」。 認知症状はほとんどなく意思疎通はしっかりできる方である。そして、確かに気候は夏に近づいてきていた。さっそく、冷蔵庫に冷やした…

どういう職員がよいのか悪いのか

いまさらながら考える機会が多い。介護職員としての輝かしい姿を想像しながら、現実とのギャップを冷静に見据えながら、試行錯誤の日々が続く。 何か物足りなさを感じる新人職員をいま一歩引き上げるために、いまの段階でどこを強化していくべきなのか、ある…

多職種不連携

ここ最近リーダーとしての判断力が試されるような状況がいくつかあった。 その1つに、利用者にある不利益なことがあって、それを解決するためには看護師との協力が不可欠という事例があった。わたしにとってそこで疑問だったことは「なぜ話し合いも何もせず…

独り立ちについて

職場内で「独り立ち」という表現がある。つまり、一人での勤務=夜勤ができるようになることを意味している。これは、ユニット型の施設ならではの言い方かもしれない(従来型だとワンフロアを複数人で夜勤をするのが普通なので)。 夜勤が出来るための前提は…

人の顔色を伺うことについて

新人教育に関連して、これまた考えさせられたことを1つ。 入って早々ではあるが、ある新人職員がトラブルを起こした。それは、上層部を巻き込んだ形での処理が必要な深刻なものであったが、そこでの一番の被害者は何よりある利用者であった。 しかし、その新…

自分自身の問題として考えることの難しさ

現場におけるコミュニケーションにはさまざまな諸相があるわけだけど、いかにしてその場に合った適切なコミュニケーションを取るべきか、これを極めるのは非常に難しい。特に認知症の高齢者が相手であれば、新人職員がその対応の難しさに戸惑うのは当然と言…

専門性を捨てる覚悟

最近読んだこの本の中に怪しい記述があったのでメモを。 施設ケアに役立つ 多職種協働ハンドブック ―専門的視点と24Hシートの活用 作者: 一般社団法人日本ユニットケア推進センター 出版社/メーカー: 中央法規出版 発売日: 2015/03/24 メディア: 単行本 この…

古くて新しい問題

労働についてもう1つネタがあった。腰痛問題。 最近、新人指導を行う中で、腰痛にならないよう安全・安楽な介助を行うように教えるのだけど、どうしても力がないとできない介助があるというのも現実である。その原因は、どう考えても設備面(泣) 特に、入浴…

夜勤労働をめぐる攻防

メーデーなので労働について何か書こうと思っていたら、すでに日をまたいでしまっていた。替りに、こんな夜中に書くに相応しいテーマを思いついたのでメモ程度に。それは、夜勤について。 個人的なことだけど、最近、夜勤がそれなりに身体に負担に感じるよう…

学歴なるものについて

この業界において、少なくとも資格と関連付けるなら三福祉士(社会、精神保健、介護)のうち介護以外の2つに「大卒」という学歴が必要だ。それがなくても取れるルートは用意されているが、今時そのルートを通る人がいるのかどうか、わたしにはわからない。 …

土を耕す、種を植える

人を育てることの前提は、人が成長することを信じ、そして願うこと。誰も成長しない人はいない、と。 しかし、一方でそのような信頼が揺らぐようなこともある。教えたことがなかなか身につかない、言われたことをすぐに理解できない、あるいは、人の話をそも…

よりよい環境づくり

環境を整えるというのはとても難しいことだ。たとえば、わたしが生まれた家や育った土地、それらは「与えられた」ものでしかない。それを自らの意思で選び/変えることはできない。 しかし、全ての環境が所与なのではない。まずもってその「環境」の意味する…

わからないということをわかる、ということ

「わからない」と「わからないということがわかる」のは違う。 わかろうとせず、なんとなく、わからないと言おうとしている人がいた。あなたは、本当にそのことについてわかろうとしたのだろうか。 確かにどれだけがんばってもわからないことはある。そうい…

深くて長いトンネル

いまさらだけど、何度でも考える必要があると思うので。 まず、誰にでもできるものではないと思う。当たり前だけど、これはそう。家族がしていることもあるけど、それとこれとは違う。不謹慎な言い方だけど、看取ったら終わり、などということはない。次に待…

要介護度が上がるということ

なんとも暗い予測ではあるけど、今年中にはいま担当している利用者の半数が要介護5になりそうな勢いである。現状において、すでにそれだけの介助量が必要な状況で、現場はアップアップしているわけだけど、それだけの数字が出ていても不思議なことに人員配…

お口の中にあるものの話

久しぶりのテキストです。 お仕事関係の話、かもしれません。 最近、口内炎ができました。いつできたかも定かではなく、いまのところいつ治るかも定かではありません。きっとストレスが原因でしょう。 何もしなければ支障ないわけですが、問題は食事ですね。…

幻想の中身こそ問われている!

先日に引き続き、ユニットケアについて書かれた本を取り上げます。本をたくさん出しておられ、なおかつ辛口トークでも知られる高口光子さんの本です。 ユニットケアという幻想―介護の中身こそ問われている 作者: 高口光子 出版社/メーカー: 雲母書房 発売日:…

その歴史を伝えるということ

こんにちは。 今回はユニットケアについて書かれた本を一冊ご紹介します。しかも、ちょっと前の本なので、いまならもっといろいろな本が出ているよ、という中での紹介です。 それは至誠ホーム出版会編『ユニットケアはいかにして創られてきたか』(中央法規…

知っているようで知らないあの役職について

本日は、とある事情から生活相談員について勉強する必要が生じたので、そのことについて書かれた本をピックアップしました。梅沢佳裕さんの『生活相談員―その役割と仕事力』(雲母書房)という本です。 生活相談員―その役割と仕事力 作者: 梅沢佳裕 出版社/…