よむ介護

介護を通じて考えたことを書いていきます。

向き不向きの話

昔、わたしがまだ介護という仕事に興味を持ち始めてどうしようか考えていたぐらいのときの話。とある機会にある説明会に思い切って参加してみたんだけど、その時にどこの施設長だかわからないけど思い切って聞いたことがあったんですよね。

 

「介護っていろいろ大変じゃないですか。向き不向きってやっぱりあるんですかね?」

 

それに対するその方(たぶんお偉い人だと思うんだけど・・・)の回答は明快なものでした。

 

「そういうの特にないと思います。ただ、介護という仕事に興味があるか、続けようっていう気持ちがあるかどうかってことだと思いますよ。」

 

その時は「ああそうなんだ」と漠然と聞いていましたけど、これは多少は経験を積んだいま自分で答えを出すとしてもそうなのではないかと思います。

 

業界にいるとそれが当たり前のように感じるけど、たまに外部の人と話すとやっぱり介護って特殊な世界というか、外からはよくわからない世界なんだろうなと思うんですよね。「大変ですよねー」とよく言われたりするけど、そう言う人って多分よくわかってないと思うんですw

 

中には、身内で介護が必要になって巻き込まれるようにしてこの世界のことを知ったという人もいると思います。でも、そうだとしても、何らかのきっかけがあって介護というものに興味を持ったというはある意味スゴイことだと思うんですよね。しかもそれを生業にしようとまで考えるとすれば、それはすでに何かを乗り越えた人なのではないかと。人を助ける仕事をしたいでも、それしか職がないでもいいけど、とにかくこの介護という仕事に興味を持ったっていうだけで、ある意味儲けモンなのではないかと・・・そんな気がするんですよね。

 

だから、冒頭と同じような質問をされたら、誰でもいいけど、介護に興味があるのならやってみたら、ってわたしなら言うと思います。それがまずもって「向いている」の意味だと思うから。

 

逆の言い方をしたら、興味がなくなったらそれは「不向き」ということです。そんな人間が介護をしても、する方もされる方もどっちもつまらないし、何もいいことありませんよね。

 

もちろん、実際、統計的に離職率が高い業界であるのも間違いないわけです。そこら辺は「まあ問題があったらいっしょに考えましょうや」と言うとちょっと無責任な言い方かもしれませんが、構造的な問題(低賃金)や対人援助職ならではの問題(ストレスやバーンアウト)というのもあって、やはりスキルアップしていかないと克服できない部分があるのは間違いないと思います。つまり、興味だけでなくて努力ももちろん必要だということです。でも、悩みを抱えている人はどこの業界内にもいるわけだから、そこで悲観しても仕方ないのではと思います。

 

最後に、なぜこんな話をしたかと言えば、最近うちの施設で「向き不向き」の話が出たから。ハッキリ言って「あのひとは向いてないよね」みたいな話です。確かにその人、至らないところがあるなあとは思うけど、そういう言い合いを本人の知らないところでするのはよくないし、そもそも、それなりに向上心がある人に対して、そういうことを言うのは失礼だよねと思ったりしたんですよね。別に悪い人じゃないのにって(こういう愚痴り合いも職場ではよくある話かもしれないけど)。

 

まあ、どう教育しても使い物にならんなあ、という職員はいるわけですが・・・それも含めて、お仕事じゃないのよって思うようにしてます。

 

でも、こんなこと書いておいてなんだけど、自分自身では「向いてないなあ」と思うことは多いのです。なぜそう思うのかっていう話は今しないけど・・・だからこそ、たまには自分で「そんなことないわ」って言っておきたくなったのです、はい。向いてる、向いてる!