よむ介護

介護を通じて考えたことを書いていきます。

それを「楽しむ」ということ

時間の都合もあって五輪をなかなか観られないのだけど、選手がよく口にする「楽しむ」というのは、この意味を考えるとなかなか深いものがあると思う。

 

スポーツって世界レベルになると、己の肉体を極限まで鍛えて、何かを成し遂げようとするような過酷なもの。なのに、それを楽しめる心境って、それだけでもう何かを乗り越えているとしか思えない。そういう高みを目指した先にある「楽しむ」ということばを、凡人のそれと比較することなどできないのではないか。

 

今日、とある場所に研修に行ったのだけど、そこでは介護福祉士という専門職としての能力について何度も問いかけられる場面があった。介護の現場は、つらいことが多いのは事実。だけど、人材が流動的なこの業界、本当のこの仕事の苛酷さなど知らない経験の浅い人から「しんどい」などと軽々と口走られることもある。その「つらさ」の意味を本当にわかっているのかあと思うこともある。

 

楽しいことがないわけではない。けど、福祉を実現するために助けが必要な人、その人たちがもしすでに幸せであるとするなら、わたしたちの出番などそもそもない。福祉の仕事は、人の不幸に分け入ることなのだと思う。だから、それは過酷な仕事だし、とても高い倫理観が求められる仕事だとも言える。

 

でも、イメージアップのために、自分たちのモチベーションを上げるために、安易に「楽しむ」が先に来てしまってはいないだろうか。ただ、楽しんで仕事をしているということが、深みを欠いたポジティヴなメッセージとなってしまってはいないだろうか。

 

専門性を持った職業人として、まだまだ登るべき山はある。その厳しい条件に挑むタフな気持ちと、現場の抱えるつらさから目を逸らさない、そんな清濁併せ呑む精神を備えた境地を目指せたらいいなと、今日は思った。そういう「楽しむ」なら、自分自身に使うことが許せるかもしれない。