専門性を捨てる覚悟
最近読んだこの本の中に怪しい記述があったのでメモを。
施設ケアに役立つ 多職種協働ハンドブック ―専門的視点と24Hシートの活用
- 作者: 一般社団法人日本ユニットケア推進センター
- 出版社/メーカー: 中央法規出版
- 発売日: 2015/03/24
- メディア: 単行本
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この手の本には珍しく、鷲田清一さんの本を引用している箇所があるのだけど、明らかに
その本は『老いの空白』。この引用自体面白いので、議論のためにもまずは再度抜き出し
「専門性を捨てる用意があるだけでなく、専門性を捨てなければならないこと、つまりだれかの前でまずはひとりのひとであること。/おのれの培った専門性をいったん棚上げにして、じぶんもまた名前をもったひとりの特異な者として別の特異な者の代理になる用意があるということこそ、ケアもしくは臨床の現場の専門性のありかたにほかならない」
この一節を引用した後で、筆者は次のように続ける。
「要するに、日ごろはone of them(その他大勢)であっても、いざというときに専門性を発揮できるのが介護の現
場における専門性でありプロだということです」(p.24)
この注釈を見てわたしは???となった。鷲田さんの言っていることって、そういうこと
哲学者の文章だ。どこに強調点を置くべきかは読み手によるかもしれない。わたしの考え
鷲田さんが強調しているのは、明らかに臨床の場面における〈わたし〉と〈あなた〉との
注釈では「日ごろはone of them(その他大勢)」と書いているが、鷲田さんの関心からしても、そのようなこと
いわば臨床のダイナミックスみたいなものを、「ケア」の専門性として見据えるのが鷲田