その歴史を伝えるということ
こんにちは。
今回はユニットケアについて書かれた本を一冊ご紹介します。しかも、ちょっと前の本なので、いまならもっといろいろな本が出ているよ、という中での紹介です。
それは至誠ホーム出版会編『ユニットケアはいかにして創られてきたか』(中央法規、2006年)です。
ユニットケアはいかにして創られてきたか―至誠キートスホームの実践から
- 作者: 至誠ホーム出版会
- 出版社/メーカー: 中央法規出版
- 発売日: 2006/06
- メディア: 単行本
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最近、この本を読んでみたいのですが、他にも介護関連の本を出版している有名な法人だけあって、ここまでいろいろ書けるのはすごいなあと率直に思いました。
この本には施設が開設した2000年から約6年間にわたる「ユニットケア」へ取り組みを記録したものですが、最初のドタバタの時期から定着・安定の時期に至るまで、さまざまな試みが書かれています。時代を考えても、いまのように制度的な基盤もノウハウもない中での取り組みであって、その先進性には驚かされます。
何より、一冊の本にまとめられるほどに、多くのプロジェクトが進められ、それが形にされていったということ、これがすごいんですね。詳しくは本をお読みいただきたいのですが、何より現場職員の「あれがしたい、これがしたい」という熱意に押し出される形でいろいろな試みが始まっていくのがスバラシイと思いました。
省みるに、たとえばいま自分が勤務している施設で、このような「取り組み」の歴史を本にまとめることができるかと言われたら、とても難しいと思います。確かにいろいろやっているとは思いますが、それをこうして公表していけるほどには蓄積がないし、何よりそれを書籍化するほどの熱意がない。
それに、これは大事なことではありますが、取り組みの歴史を書くということは、そこに含まれるであろう「不都合な真実」にも改めて直視しないといけないということなんですね。課題や問題があってこそ改革だし、何をどう変えていったかという部分こそが、おそらくこの手の読者が求めることなので。そして、一つひとつの課題をクリアしていける組織こそ、成熟しているということなのだろうと思います。
本の後ろの方をみると、実際この本を作成するのに、多数の現場職員が参加しているのがわかります。本来の業務外であるはずの、こうしたプロジェクトに協力できる職員がこれだけ存在しているということが、この施設の「本気度」を感じさせるものだなというのが、わたしの感想です。
ということで、ユニットケアのノウハウについて書かれた本なら他にもいろいろとございますが、本書にはそれに取り組むための思いや熱意の部分まで表現されており、そこが独自の点かなと思います。
「ちょっとマンネリ気味かな~」というような施設勤務の方にぜひとも薦めたい一冊ですね(あ、それ、自分のことやんw)