よむ介護

介護を通じて考えたことを書いていきます。

土を耕す、種を植える

人を育てることの前提は、人が成長することを信じ、そして願うこと。誰も成長しない人はいない、と。



しかし、一方でそのような信頼が揺らぐようなこともある。教えたことがなかなか身につかない、言われたことをすぐに理解できない、あるいは、人の話をそもそも聞いていない



育成するということは、双方向の営みだ。それは、ケアと同じ。一方的な指導や忠告が、学び育とうとする意欲のない人にとってどれほどの意味があるのか。



種を植えるにはまずは土を耕すことが必要だ。いま、その人にはどのような土壌があるのか、そしてそこからどのような状態にすれば種が芽吹く土になるのか。



環境が変わったからといって、すぐに職業人になれるわけではない。人から学ぶということのかけがえなさを知らない人には、まず学ぶことの意味、そしてそれが自分自身のあり方にどれだけ影響するかを教えなければならない。



土を耕す、ということをしなければならない状況が久しぶりにやってきたということだ。言うまでもなくそれは骨の折れる作業になるだろう。