よむ介護

介護を通じて考えたことを書いていきます。

人の顔色を伺うことについて

新人教育に関連して、これまた考えさせられたことを1つ。



入って早々ではあるが、ある新人職員がトラブルを起こした。それは、上層部を巻き込んだ形での処理が必要な深刻なものであったが、そこでの一番の被害者は何よりある利用者であった。



しかし、その新人はそのことに気づいていないようだった。それに気づいたのは、その新人が今回の件について、次のようなことばを発したからだった。



「今回の件で、上司の皆様に多大な迷惑をかけ申し訳ありませんでした」



事の重大さは認識しているようだった。しかし、その新人は明らかに申し訳なく思う対象を間違えている。なぜ、あなたは被害を受けた利用者やその家族じゃなく、上司に対して謝罪しているのだ。あなたがケアすべき対象は上司ではなく、目の前にいる利用者ではないのか。



このような認識の転倒が起きている理由は何か。推測するに、その新人は人(職場の上司)の顔色を伺って、事態の収束がどこにあるのかを探っていたのではないか。そう思うと、上記の新人のことばが、自己保身の姑息な謝罪のことばにしか聞こえなくなる。



これではいけない。



そこでどうすべきかどうかを考えるのだけど、新人だろうがベテランだろうが、利用者にとってそんなことは関係なくて、現場に入れば援助者として振る舞わなければいけないこと。その心持ちを新人には教えなければならない。どうにもこういうにも、当事者性がないのではないかと思える。



「何かがあれば上司が何とかしてくれる」ではなく、「自分なりに何ができるのか」を当たり前のように考えさせること。そういうマインドを醸成させることができるのか、難しい課題だが取り組まなければ先には進めないだろう。悩ましい話だ。