よむ介護

介護を通じて考えたことを書いていきます。

土を耕す、種を植える

人を育てることの前提は、人が成長することを信じ、そして願うこと。誰も成長しない人はいない、と。 しかし、一方でそのような信頼が揺らぐようなこともある。教えたことがなかなか身につかない、言われたことをすぐに理解できない、あるいは、人の話をそも…

よりよい環境づくり

環境を整えるというのはとても難しいことだ。たとえば、わたしが生まれた家や育った土地、それらは「与えられた」ものでしかない。それを自らの意思で選び/変えることはできない。 しかし、全ての環境が所与なのではない。まずもってその「環境」の意味する…

back to basics

いまの時代、なにもないところから何かを生み出すということはできないのだろう。 昨日やっていた番組で、イノベーションの前提は生活や仕事の基礎なり基盤が安定していることだという話を誰かがしていた。それを聞いて、わたしはその前提とされる安定がいか…

年末の雑感

今年一年を振り返って・・・ 立場というのは与えられるものなのか、自分で築くものなのか。 組織という中で動くのであれば、どちらとも言えるし切り分けることもできないだろう。特にポストの数がある程度決まっているのであれば、そこにどう近づくかは自分…

わからないということをわかる、ということ

「わからない」と「わからないということがわかる」のは違う。 わかろうとせず、なんとなく、わからないと言おうとしている人がいた。あなたは、本当にそのことについてわかろうとしたのだろうか。 確かにどれだけがんばってもわからないことはある。そうい…

深くて長いトンネル

いまさらだけど、何度でも考える必要があると思うので。 まず、誰にでもできるものではないと思う。当たり前だけど、これはそう。家族がしていることもあるけど、それとこれとは違う。不謹慎な言い方だけど、看取ったら終わり、などということはない。次に待…

所作の問題

わたしはマナーとか礼儀とか、そういう人を型にはめるようなもの、根拠なく慣習的に信じられているものを殊更重んじるのには懐疑的である。自分自身がそういうマナー知らずな人間だからかもしれないけど、そんなの自由にさせてくれよと思う。 実際、日常生活…

悪い芽は早く摘む

何が起こっているのか、その時にはわからない場合というのがある。だけど何かが引っかかる。だから、後になってあれは何だったのだろうと考える羽目になる。 昨日の出来事。久しぶりに早出で出勤したら、いろいろなものが「やりっ放し」になっていてがっかり…

新人教育について、いま思うこと

今年入ってきたフレッシュな新人、半年が経ってみんなそれなりに板についてきた。もう辞めるとか言っているやつもいるけど、入って早々にそんなこと言うのはそれなりの人間なわけで、それは折り込み済み。それも含めて、みんながんばっていると思う。 それに…

要介護度が上がるということ

なんとも暗い予測ではあるけど、今年中にはいま担当している利用者の半数が要介護5になりそうな勢いである。現状において、すでにそれだけの介助量が必要な状況で、現場はアップアップしているわけだけど、それだけの数字が出ていても不思議なことに人員配…

お口の中にあるものの話

久しぶりのテキストです。 お仕事関係の話、かもしれません。 最近、口内炎ができました。いつできたかも定かではなく、いまのところいつ治るかも定かではありません。きっとストレスが原因でしょう。 何もしなければ支障ないわけですが、問題は食事ですね。…

すべる介護の話

介助技術に関する本はいくつも持っています。ただ、本当に参考程度に読むといった感じですね。技術って本だけではイメージをつかみにくいっていうのもあるんだけど、実際に本を読みながら介助するわけにはいかないので、自己点検みたいな感じですよね、使用…

幻想の中身こそ問われている!

先日に引き続き、ユニットケアについて書かれた本を取り上げます。本をたくさん出しておられ、なおかつ辛口トークでも知られる高口光子さんの本です。 ユニットケアという幻想―介護の中身こそ問われている 作者: 高口光子 出版社/メーカー: 雲母書房 発売日:…

その歴史を伝えるということ

こんにちは。 今回はユニットケアについて書かれた本を一冊ご紹介します。しかも、ちょっと前の本なので、いまならもっといろいろな本が出ているよ、という中での紹介です。 それは至誠ホーム出版会編『ユニットケアはいかにして創られてきたか』(中央法規…

知っているようで知らないあの役職について

本日は、とある事情から生活相談員について勉強する必要が生じたので、そのことについて書かれた本をピックアップしました。梅沢佳裕さんの『生活相談員―その役割と仕事力』(雲母書房)という本です。 生活相談員―その役割と仕事力 作者: 梅沢佳裕 出版社/…

介護現場でも必要なマネジメントの基本を学ぶ

本ブログで紹介する記念すべき一冊目の本は、P.F.ドラッカーの『マネジメント――基本と原則』(ダイヤモンド社、2001年)です。 マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則 作者: ピーター・F・ドラッカー,上田惇生 出版社/メーカー: ダイヤモンド社 発売…

アウトプットを始めよう

みなさん、こんにちは。そして、はじめまして・・・ 3ヶ月ほど前に思い立ってこのブログを開設してみたものの、忙し過ぎて記事を書いているヒマがない・・・もうちょっと落ち着いてからでいいや、なんて思っていたらもうこんなに時間が経っていました(汗)…

それを「楽しむ」ということ

時間の都合もあって五輪をなかなか観られないのだけど、選手がよく口にする「楽しむ」というのは、この意味を考えるとなかなか深いものがあると思う。 スポーツって世界レベルになると、己の肉体を極限まで鍛えて、何かを成し遂げようとするような過酷なもの…

ブログはじめました

みなさま、はじめまして。 この度新しいブログを立ち上げました。 題して「よむ介護」。 主に介護や福祉に関連する本を紹介するブログです。それ以外にも、介護に関するよもやま話なんかも書いていければと思っています。 個人的な話ですが、本に関しては以…

孤独感のケア?

とある本を読みながらふと考えたのだけど・・・ 高齢者の孤独なんていまさら言ってもあれだけど、それが認知症の場合、その心的状態がBPSDとして現れる場合が考えられる。もしそれが危険性をともなう行動であるなら、ほっとくわけにいかず対応を考えないとい…

エネルギーの処し方

エネルギーというのは、基本的には秘めたるものなのだろう。 ただ、どこかで開放されるタイミングというのがある。その瞬間というのは、当の本人にもわからない。気づけば満ち溢れているかもしれないし、ずっと秘められたままかもしれない。予感することぐら…

向き不向きの話

昔、わたしがまだ介護という仕事に興味を持ち始めてどうしようか考えていたぐらいのときの話。とある機会にある説明会に思い切って参加してみたんだけど、その時にどこの施設長だかわからないけど思い切って聞いたことがあったんですよね。 「介護っていろい…

見届けること

この前、利用者の急変があったときに、別のフロアにいた若手職員に言ったこと。 「ここにいる人はいつ死んでもおかしくない。「介護が必要な利用者」っていうのは、ある意味死と隣り合わせの状態で生きているんや。いま元気そうなあのおばあちゃんも明日の朝…

正しい状態~そんなものない

いきなりですが、わたしは正直言うと、介護現場における新人教育というのがどうあるべきかというのは、よくわからないのです。自分自身はアレコレと言われる前に自分でいろいろなことを習得してしまった、というか、そんな教育体制がロクにない状態でOJTさせ…

夕暮れ症候群

わたしが実習生が来た時に、ほぼ必ず説明することがある。それは「根拠」について。なぜそのような介護をするのだろうか? それを考えて欲しい。そして知ってほしい。なんとなくとか、誰かがそうしているからとかではなく、わたしたちが行うケアという営みに…

前向きになれるように!

ふと思うこと。上層部の人は何を持ってわたしたちの仕事を評価しようとしているのかはわからないけど、「言われないとしない」みたいな後手の姿勢では評価されないのは確かだろう。 でも、日々変化していく利用者を前にして、懸命になりながらも抗えないもの…

しがみつかない生き方

寝て目が覚めて、ふと脳裏によぎったことがある。「しがみつくのは、たぶんよくない」ということ。 おそらく職場の中ではわたしは介護についてかなり熱心に勉強してる方やと思うけど(苦笑),仕事は趣味の延長ぐらいに捉えておかないと、自分がおそろしく仕…

隣接分野の本

家の本棚に『看護過程に沿った対症看護』という本があった。現在では第4版まで出ている看護系ではベストセラーの本の初版。 言うまでもなく内容は医学的な内容が盛りだくさんで、その手の知識があまりないわたしにとっては難解な代物だけど、現場でもよく目…

できるからするのか、したいからするのか?

この前ふと考えたことをメモ程度に。「自立支援ってなんぞや」というよくある話について。 わたしが勤務している施設には、「個浴」と「特浴(機械浴)」という2つの入浴の形態が存在する。 うちの施設はユニット型なので、個浴は各ユニットに1つずつ設置さ…

春うららを忘れずに

近所の花見スポットの桜はもうすっかり散ってしまった。 ああ、これが日本的な情緒というやつなのかなと思いつつ、サイクリングしながら暖かい気候に包まれると、ふと穏やかであたたかい気分になる。そして、何かに向かって動き出そうという気持ちが生まれる…